ゲノムの歩き方(用語解説) > 複雑なゲノムを読み解く

ゲノムの歩き方(用語解説)

複雑なゲノムを読み解く

 ゲノム解読は、まず枯草菌(納豆を作るバクテリアの仲間です)やパン酵母などの比較的小さなゲノムからはじめられ、次第に複雑なゲノムをもつ線虫、ショウジョウバエ、マウス、ヒトへと解析対象を拡大してきました。これらの生物は、ヒトは別として、いずれも実験室で何代にもわたって飼い継がれたもので遺伝的に均質です。つまり、個体間の違いを気にせずにゲノム解読を行うことができる生物です。しかし、このような生物は例外です。例えばポテトの栽培種は細胞に4セットのゲノムをもつ4倍体で、それぞれが少しずつ異なるためゲノム解読はとても困難でした。また、ヒトでは一人一人のゲノム構造の違いが約0.1%程度なのに対して、ナメクジウオのように2倍体を構成するゲノム間で約10%も構造が異なる領域を持つ生物がいることもわかってきました。イモリやユリの仲間のように、ヒトの数十倍の大きさのゲノムを持つ生物がいることも知られています。

 それでは、最近のゲノム解析技術の進歩は、このような問題を解決できたのでしょうか。残念ながら、「難しいものは、やはり難しい」というのが今のところの答えです。そのため、研究者は様々な工夫をこらして難問に立ち向かっています。

 当DNAシーケンスセンターの見学で、そのような雰囲気まで感じ取っていただければ幸いです。