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第三世代DNAシーケンサ以降

 第二世代シーケンサでは、配列決定反応の前に鋳型DNAを増幅する段階があり、ここでの偏りと誤差の発生が問題となる場合があります(十分量のDNAがあれば、この段階を省くことも可能です)。また、各塩基の合成またはオリゴヌクレオチドのハイブリッド形成の各段階ごとに、取り込まれた蛍光色素を除去する必要があるため、例えば100塩基を読み取るためにはDNA合成反応・蛍光検出・除去洗浄反応のサイクルを100回繰り返す必要があり、その分時間がかかります。これに対し、DNAの増幅を行わず単一のDNA分子を鋳型とする装置が第3世代シーケンサの特徴です。現在実用化されている装置(PacBIO社製 RS)では、短い運転時間で連続的に数千塩基の読み取りができるようになっています。本センターでは2012年にこの装置を導入し、実働化作業を進めているところです。

第三世代DNAシーケンサ以降

 ここまでに紹介した大部分の装置は、配列決定にDNA合成酵素によるDNA鎖伸長反応を利用することが共通の特徴です。つまり、配列を読み取る精度も速度も、使われるDNA合成酵素の生化学的特性に依存することになり、反応条件、反応時間、精度に制約が生じます。この弱点を軽減するため、酵素に依存せずDNA分子内の各ヌクレオチドの物理化学的特徴を検出し塩基配列決定を行う方式を採用したDNAシーケンサも開発が進められています。総称して第四世代とでも呼べばいいのでしょうか。

 いずれにせよ、技術開発の方向性は、より大量の配列データをより短時間かつ低コストで生産することに向けられています。マスコミでは、1000$ゲノム(ヒトゲノムを1000$でのコストで読み取ることを目的とした米国プロジェクトの略称)を実現する装置の2012年内の出現が話題になっていますが、一方で、配列データの処理には多大な計算機資源と人材が必要であり、特に後者は世界的に不足しています。この傾向は今後も継続することが予想されており、適正な人材育成策の立案と実行が望まれています。